2019-01-01から1年間の記事一覧
「離れた友の、恋の炎で燃ゆるこの心」 「きれいな言葉だね」 「お前さんの心を表したまでだ」 (劇中、主人公と主人公が旅先で出会った老人との会話より) 皆様、こんにちは。年の瀬ですね。いかがお過ごしですか。 ブログ主は27日に仕事納めを迎え、最終…
ほら穴の内側は、一面に青かった。この世のどこにもないほどに。それは青空よりもはるかにふかく、はるかに美しい青さであった。いわば紺青の空色に染めたガラスを透してそとの光がさしこんでくるような青さであった。( 岩波文庫「水晶」シュティフター・著…
「当然です。諜者は功を語らず。諜報員の作戦が白日の下に晒されるのは、正体がばれたときです。それは、作戦が失敗したことを意味します。成功した作戦は歴史の闇のなかへと消えていくだけです」 (光文社「十二月八日の幻影」直原冬明・著 42頁より) ど…
どうも。一生独身な気しかしないブログ主ですw 独身な気しかしないくせに、本日はちょいちょい子守をしておりました。(甥っ子2人が来ていたため) 上の子は齢4才になりまして、そろそろ本に興味を持ち始めた模様。本棚から子供が興味を持ちそうな本を探…
なぜか、おじさんの家へ行くときに、森の木々が葉をつけていた記憶がない。あの森をぬけていくときは、いつも寒くて、霜がおりているか、雪がふっていたような気がする。葉といえば、地面の上でくさりかけている枯れ葉以外、見たおぼえがないのだ。( 理論社…
「この手に筆、目の前に窓さえあれば、私は満足です」 (本作主人公モード・ルイス本人の生前の言葉より) 皆様、こんにちは。やっと秋本番になってきましたね。と、いってもこの記事をいざ投稿しようと思ったら台風が通過していき、本日は台風一過で暑くな…
母の懐には甘い乳房の匂が暖かく籠っていた。 ・・・・・・・・・ が、依然として月の光と波の音とが身に沁み渡る。新内の流しが聞こえる。二人の頬には未だに涙が止めどなく流れている。 私はふと眼を覚ました。 ( 新潮文庫「刺青・秘密」谷崎潤一郎 著 2…
フィンランドのかもめはどことなく、のびのびとふてぶてしく、また ひょっこりしていた。 このひょっこり具合が、自分と似ているような気がしてきた。 「かもめ・・・・・・、 かもめ食堂・・・・・・、 でいきますか」 ( 幻冬舎文庫「 かもめ食堂」群よう…
「<ティンカー・リンカー>のピーチパイ!白桃を使ってて、とってもとってもおいしいの!」 そしてそのまま、小佐内さんの笑顔は凍りつく。 蒸し暑い夏の日、この瞬間ぼくと小佐内さんの間にしんと冷えた空気が下りてきたのを、ぼくは確かに感じていた。 (…
するとどこかで、ふしぎな声が、 銀河ステーション、銀河ステーションと云う声がしたと思うといきなり眼の前が、 ぱっと明るくなって、 まるで億万の蛍烏賊の火を一ぺんに化石させて、 そら中に沈めたという工合 ( 新潮文庫「新編銀河鉄道の夜」宮沢賢治・…
俯いた女は折り目正しく頭を下げた。帯締めに下げた鈴がチリンと鳴った。 「お悔やみを申し上げます」 女ははっきりとそう言った。 ( 角川書店「営繕かるかや怪異譚」小野不由美・著 108頁より) ブログ主の住む関東は、なかなか梅雨が明けない日々です…
「若いころは悪さもしたが、恋はいいものだ。」 (劇中、パオさんの台詞より) 6月も半ばに入り、梅雨真っ只中。☂ みなさん、いかがお過ごしですか? 5月まではあんなに青空が多かったのに本当に梅雨入りした途端、ぐずついた空模様ばかり。☂☂☂ なんだか、…
「そういうときこそ気をつけないと」フィルポットは言った。 「いわゆる死の予兆(フェイ)というやつですよ。」 (ハヤカワ文庫「終わりなき夜に生れつく」アガサ・クリスティー著 239頁より) 読み終えた時の第一声、「なんて恐ろしい小説だろう。」こ…
「信じてください。ぼくは、きみがこれを読む八十年もあとの時代に実在し、生きているのですー。きみと恋に落ちたことを、心の底から信じながら。」 (ハヤカワ文庫「ゲイルズバーグの春を愛す」ジャック・フィニイ 著 207頁より) 春本番になって、寒の戻り…
襖の音に、女は卒然と蝶から目を余の方に転じた。視線は毒矢のごとく空を貫いて、会釈もなく余が眉間に落ちる。 ( 集英社文庫「 草枕」夏目漱石・著 91頁より) ご紹介する小説は、夏目漱石の「 草枕」です。 目次 ・「 草枕」キーワード ・あらすじ ・味…
GW前に鑑賞したので、少し間が空いてしまった…。やっぱりアレですね、「鉄は熱いうちに打て」ってやつですね。私の拙い記憶力でどこまで思い出せるか不安ですが、それでも紹介したいほど良い作品でした。 あらすじ 1962年、ニューヨーク。ナイトクラブ…
「わたし、スタンダードシフォンと、コーヒー」 まずはシフォンで肩慣らしか、と思ったが、 「・・・・・・とミルフィーユとパンナコッタとストロベリーショート」 いきなり全開ですか。 ( 創元推理文庫「 春期限定いちごタルト事件」米澤穂信 著 155頁より…
「ライバルが溺れていたらホースを口に突っ込む。君たちにそれが出来るか?」 (劇中、レイ・クロックの台詞より) ご紹介する映画は、2016年アメリカ制作映画「ファウンダー~ハンバーガー帝国のヒミツ~(原題THE FOUNDER)」です。 目次 あらす…
「彼をまだ愛してる?」 「・・・Miluju tebe」 (劇中の台詞 主人公の質問とチェコ語で返したチェコ移民のヒロインの答えより) ご紹介する映画は、2006年アイルランド制作映画「ONCE ダブリンの街角で(原題 ONCE)」です。 目次 あらすじ 味わいポイント …
「でも、人生は祝福するべきものだわ。そのすべてを。つまり、その最後さえも。」 わたしは、ホットプレートに載ったポットを手にとって、ふたつのグラスにホットチョコレートを注いだ。 ( 角川書店「ショコラ」ジョアン・ハリス著 231頁より) バレンタイ…
正月休みに「メアリーの総て」という映画を観てきました。 とてもいい作品でした。やっぱり“あの監督”の作品だ、と噛みしめながら映画館を後にしました。監督の話は後に回すとして、まずはあらすじを。 あらすじ 今から約200年前に著されて以降、現在に至…
「寒くなったな、夜天(そら)が落ちてきそうだ。」 「夜天(そら)が、星ぢゃないのか。」銅貨が訊き返すと、 「夜天だよ。今にも留め金が外れて天井板のように落ちてきそうなほど凍ってる。」 ( 河出書房新社「三日月少年漂流記」長野まゆみ・著 74頁よ…
「金田か、妙な男さね。日本料理の宴会だといえば顔を出した事がない。日本酒と米の飯ほど嫌いなものはないんだッていうから・・・」 「お分かりになりましたろう。私の日本料理、日本酒嫌いの理由(いわれ)はそういう次第です。」 岩波文庫「あめりか物語…