小説-気分で選ぶ-青春!な小説が読みたい
こいつ、おかしい。すごい変わってる。 でも、どこがだろう。何がだろう。 そういえば、こいつとはここまで、一度も鍔迫り合いになっていない。 もう一度、何本か続けて打ち込んでみる。 メンメン、引きゴテ、メン、引きドウ、コテメンー。 (文春文庫「武士…
「この寮で一カ月以上も暮らしてるとさ、受験勉強の仕方を三タイプに分類できるってのが見えてくるな」 「知力でやる奴、気力でやる奴、体力でやる奴、だよ」 「あのさ、僕はどのタイプに入るわけ?」 「アキラの場合は、みんなと違って指向性が見えにくいん…
相庭陽子さん。美しい人、飛切りのおしゃれです。軟派の中の女王です。級(クラス)でのニックネームはクレオパトラ、 佐伯一枝さん。これは硬派の大将、まさに全級一の模範生です。ニックネームはロボット、すなわち人造人間ですって、 弓削牧子。これは個…
「<ティンカー・リンカー>のピーチパイ!白桃を使ってて、とってもとってもおいしいの!」 そしてそのまま、小佐内さんの笑顔は凍りつく。 蒸し暑い夏の日、この瞬間ぼくと小佐内さんの間にしんと冷えた空気が下りてきたのを、ぼくは確かに感じていた。 (…
「わたし、スタンダードシフォンと、コーヒー」 まずはシフォンで肩慣らしか、と思ったが、 「・・・・・・とミルフィーユとパンナコッタとストロベリーショート」 いきなり全開ですか。 ( 創元推理文庫「 春期限定いちごタルト事件」米澤穂信 著 155頁より…
「もしもなっちゃんが「早く帰りたい」と言うのならせめて途中で『ひかり』に乗り換えよう、と携帯電話で時刻表を調べかけた、そのときー。 「ねえ、パパ・・・・・・ サンタさん」 なっちゃんが言った。 「はあ?」 「トナカイさんも、ホームにいるよ」 ( …
「それでは皆さん、東天祭の始まりです!」生徒会長がそう宣言した瞬間に文化祭が開幕する。⋯八百人分のエネルギーが一気に解放され、どよめきや足音へ変わっていく。 ( 東京創元社文庫「文化祭オクロック」 竹内真・著 4頁) ご紹介する小説は、竹内真さん…
ぼくの頭の中でふいにピアノの音が踊り出した。右手だけの力強いサマータイム! ( 偕成社「四季のピアニストたち[上]サマータイム」佐藤多佳子・著 70頁より) 紹介するのは佐藤多佳子さんの小説「 サマータイム」です。 目次 「 サマータイム」キーワー…