ア・ラ・カルト〜季節と気分で選ぶ小説&映画〜

季節と気分に合わせた読書&映画鑑賞の提案

チョコレートは「甘く」「ほろ苦い」だけ?「ショコラ」ジョアン・ハリス 著

「でも、人生は祝福するべきものだわ。そのすべてを。つまり、その最後さえも。」 わたしは、ホットプレートに載ったポットを手にとって、ふたつのグラスにホットチョコレートを注いだ。 (角川書店「ショコラ」ジョアン・ハリス著 231頁より) ご紹介する小…

映画観てきました「メアリーの総て」感想

正月休みに「メアリーの総て」という映画を観てきました。 とてもいい作品でした。やっぱり“あの監督”の作品だ、と噛みしめながら映画館を後にしました。監督の話は後に回すとして、まずはあらすじを。 あらすじ 今から約200年前に著されて以降、現在に至…

空気がキリッと冷えて冬本番になってきたら、ノスタルジックな二少年の冒険譚を。「三日月少年漂流記」長野まゆみ 著

水蓮は襟巻をコートの中に入れ、釦を留めて空を見上げた。 「寒くなったな、夜天(そら)が落ちてきそうだ。」 「夜天(そら)が、星ぢゃないのか。」銅貨が訊き返すと、 「夜天だよ。今にも留め金が外れて天井板のように落ちてきそうなほど凍ってる。」 (…

日本の正月の陰を描く小説「一月一日(いちがついちじつ)」永井荷風 著

「金田か、妙な男さね。日本料理の宴会だといえば顔を出した事がない。日本酒と米の飯ほど嫌いなものはないんだッていうから・・・」 「お分かりになりましたろう。私の日本料理、日本酒嫌いの理由(いわれ)はそういう次第です。」 岩波文庫「あめりか物語…

木枯らし1号が吹く頃になったら、じんわり沁み入る冬の絶品短編集を。「季節風*冬 サンタエクスプレス」 重松清 著

「もしもなっちゃんが「早く帰りたい」と言うのならせめて途中で『ひかり』に乗り換えよう、と携帯電話で時刻表を調べかけた、そのときー。 「ねえ、パパ・・・・・・サンタさん」 なっちゃんが言った。 「はあ?」 「トナカイさんも、ホームにいるよ」 (文…

雪原のロシア辺境地で繰り広げられる一青年の冒険譚を。「大尉の娘」アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン著

「じゃ行って来い、ピョートル。いったん忠誠を誓ったら、その人に忠勤を励むんだぞ。上官の言うことをよく守れ。上官の機嫌をとるじゃないぞ。勤務の上で出しゃばるな、また勤務をずるけるな。それからこのことわざを覚えとけ -おろしたてから着物を惜しめ…

報道の大義を賭けて政府と対峙する新聞社を描く映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

「報道の自由を守る方法は一つ。報道することだ。」 (劇中 ベン・ブラッドリーの台詞より) ご紹介する映画は、2017年アメリカ制作映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(原題The Post)」です。 あらすじ 1966年、ベトナム。米国のシンクタ…