「この手に筆、目の前に窓さえあれば、私は満足です」
(本作主人公モード・ルイス本人の生前の言葉より)
皆様、こんにちは。やっと秋本番になってきましたね。と、いってもこの記事をいざ投稿しようと思ったら台風が通過していき、本日は台風一過で暑くなる予報ですが。
しかし、何はともあれ一番好きな季節到来です。
🍁🍄🌾🍁🍄🌾🍁🍄🌾🍁🍄
📚「読書の秋」⇒年がら年中してるからピンとこない
🍠「食欲の秋」⇒季節ごとに美味しい物あるからピンとこない
🎨「芸術の秋」⇒“芸術”なんて大上段に構えられるほど造詣が深い自信無し
特に「芸術の秋」は縁遠い気がします。
芸術・・・。ピカソ?ゴッホ?フェルメール?やっぱり「大上段(私的には)」。
しかし、本日ご紹介する映画の主人公。画家ですが上記の様な「偉人」とはいい意味で一線を画した主人公です。
ということで、ご紹介する映画は2016年カナダ・アイルランド制作映画「しあわせの絵の具 愛を描く人モード・ルイス(原題 MAUDIE)」です。
目次
- あらすじ
- 味わいポイント
①連れ添うってこういう事?
②「素朴で幸せな生活」=モードの描いた絵
- 余談ですが・・・
- 予告編動画の紹介
あらすじ
1930年代のカナダ東部ノバスコシア州。主人公モード(サリー・ホーキンス)は幼いころから重いリウマチを患い、手足が不自由だった。両親の他界後は実兄から厄介者扱いされ、叔母に預けられてしまう。そんなモードの楽しみは、愛する動植物たちの絵を描く事だった。
叔母からの自立を強く願うモードはある日、住みこみ家政婦の募集を見つけ、応募する。応募先は町はずれに暮らす魚の行商人エベレット(イーサン・ホーク)の小屋だった。
エベレットは粗野で無口で無教養。「ここの序列はまず俺、次に犬、鶏、最後にお前」と、モードに対して怒鳴り散らしたり、手を上げる事も。
しかし、モードが一生懸命に潰した鶏でこしらえたシチューを夢中で食べたのを境にエベレットは徐々に変わっていく。一方のモードも、2人の暮らす小さな小屋をキャンパスにした創作活動を、エベレットが黙認したのを機に徐々に変わっていく。
自然と男女の関係になった2人はやがて結婚する。
ある日、エベレットの得意先のニューヨーカー、サンドラがモードの絵を一目見てその才能を見抜く。サンドラはモードに絵の制作を依頼。その後、少しづつモードの絵が有名になっていく。しかし、夫婦は相変わらずカナダの小さな港町での素朴な生活を続け、いっしょに齢を重ねていくがー。
味わいポイント
本作の魅力要素は主に2つかなあと思います。一つが夫婦。もう一つが素朴な生活。
①連れ添うってこういう事?
観終わってすぐ頭に浮かんだ思いは、「いい夫婦だったな」という事。純粋にそう思いました。
最初、モードが家政婦としてやって来た時のエベレットは、絵に画いたような嫌われ者でした。乱暴な言動はさることながら、つまらない事でモードに手を上げる場面も。
エベレットは孤児院で育ち、家庭の愛を知らずに生きてきました。そんな彼が、家に帰った時に温かい食事を準備して待っていてくれる人が現れた事で、徐々に変化が現れます。
粗野で愛される事が無かった男が、1人の女性を不器用ながらも深く愛するようになる様子が描かれます。エベレットの場合、妻がこよなく愛する創作活動をサポートする事が愛情表現だったのでしょう。
モードが、ハエが入ってきて創作に集中できないから網戸を付けてほしい、とエベレットに頼む場面があります。エベレットは「網戸なんかいらん」とにべも無く却下しますが、すぐ次のシーンで網戸取り付け作業をするエベレットが映し出されますw
そして、そんな夫を笑いながら見守る妻。何だかほっこりしました。
小さな結婚式を挙げて教会から出てきたシーン
そして、ラストシーン。夫婦が結婚の宣誓で誓う「死がふたりを分かつまで」。その時が来たときに、連れ添った夫婦の愛情がたしかなものであった事がよく分かるラストです。悲しいけど、きっと「いい夫婦だったね」そんな風に思えるのではないでしょうか。是非、本編でご確認を。
②「素朴で幸せな生活」=モードの描いた絵
「画家」という言葉を聞いたとき、導入部で触れたような「偉人」をつい想像してしまうのはブログ主だけでしょうか。なんかこう、幼い頃から他人とは違う感性を持つ天才で、それが故に繊細で孤独で理解されず、それが故に創作に没頭し苦悩し、やがて後世にまで名を残す偉人となる・・・みたいな。
本作のモードは全くその真逆です。世界から隔絶し、人生・生活の全てを創作に捧げて苦悩する、孤高ぶった画家では全くありません。描く事が生活の一部で、描く事が喜びで、その生活・喜びの中には夫のエベレットがいる。
モードは人生を通して、車で1時間以内の場所から出た事が無かったそうで、こんな言葉を残しています。
「旅行には興味はありません。この手に筆、目の前に窓さえあれば、私は満足です」
劇中でも、四季折々の風景や動植物、そしてその中にいる夫を窓越しに幸せそうに見つめるモードが印象的です。
モードはエベレットと暮らす小さな小屋自体をキャンパスに見立てて、窓や壁に思い思いに描きます。
そして、そんなモードが描いた作品はどれも素朴で優しい雰囲気に包まれています。
DVDを買ったら、モードの絵のポストカードが付いてきました!
この秋は“芸術の秋”、といっても気取った芸術ではなく、描く喜びと愛に溢れていた、とある純朴派画家を描いた映画はいかがですか。
余談ですが・・・
今回は本当に“余談”です。完全なる自分語りです。
ですが、普段の自分では絶対あり得ない事が鑑賞後に起こったので、ちょっと書いてみますw
①泣いたw
ブログ主は普段、「泣く」という事が滅多に無いです。更に、映画や小説の売り口上に「泣ける」なんて文言があろうもんなら「はいはいwww」「別に泣くのが目的で映画観たり小説読んだりするんじゃないし」とバカにするつむじ曲がりの嫌な奴です。
そして、この映画自体は「泣ける」なんて売り口上はありませんでした(あったら観てない)。勿論、泣くつもりなんて一切無かった。なのに…。
エンディングで勝手に目から水が出てきましたw
②結婚っていいなとほんの少しでも思ったw
ブログ主はプロフにもちょっと載せていますが、独身です。独身貴族謳歌中。
甥っ子は可愛いですが、子育て奮闘中の妹夫婦を見てると、1人の時間が相当数無いと死んじゃう自分は、家庭を持つのは向かない気がして仕方ない・・・。
「独身バンザイ!」と「このまま一生独りか。」の間を振り子よろしくゆらゆらしながら、「ま、いっか」に落ち着くのがいつものブログ主。
そのブログ主を以てして、「やっぱ夫婦って、結婚って、いいな泣」と心底しみじみ思わしめた映画が本作ですww
予告編動画の紹介
※追記
芸術の秋といえば、絵画だけでなく音楽も含まれるのでは?同じく素朴で気取らない音楽映画、紹介してます。
shosetsu-eiga-alacarte.hatenablog.jp
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— josiemarch (@josiemarch2) 2019年9月17日
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