ア・ラ・カルト〜季節と気分で選ぶ小説&映画〜

季節と気分に合わせた読書&映画鑑賞の提案

木枯らし1号が吹く頃になったら、じんわり沁み入る冬の絶品短編集を。「季節風*冬 サンタエクスプレス」 重松清 著

「もしもなっちゃんが「早く帰りたい」と言うのならせめて途中で『ひかり』に乗り換えよう、と携帯電話で時刻表を調べかけた、そのときー。 「ねえ、パパ・・・・・・サンタさん」なっちゃんが言った。 「はあ?」 「トナカイさんも、ホームにいるよ」 ご紹…

雪原のロシア辺境地で繰り広げられる一青年の冒険譚を。「大尉の娘」アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン著

「じゃ行って来い、ピョートル。いったん忠誠を誓ったら、その人に忠勤を励むんだぞ。上官の言うことをよく守れ。上官の機嫌をとるじゃないぞ。勤務の上で出しゃばるな、また勤務をずるけるな。それからこのことわざを覚えとけ -おろしたてから着物を惜しめ…

報道の大義を賭けて政府と対峙する新聞社を描く映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

「報道の自由を守る方法は一つ。報道することだ。」 (劇中 ベン・ブラッドリーの台詞より) ご紹介する映画は、2017年アメリカ制作映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(原題The Post)」です。 あらすじ 1966年、ベトナム。米国のシンクタ…

秋の紅葉を背景に父娘とグース達の壮大な渡りの旅を。映画「グース」

「ママがいれば」 「いるさ、お前の横にいる グースとともに、あの空に どこにもいる」 (劇中 エイミーとトーマスの台詞より) ご紹介する映画は、1996年アメリカ製作映画「グース(原題 FLY AWAY HOME)」です。 あらすじ ニュージーランドで母と暮らす1…

闇夜が長くなるハロウィーンから冬至にかけて稀代の名手によるゴシックホラー小説を。「幽霊」イーディス・ウォートン 著

ようやく灯りをつけ、ベッドから飛び出しました。夢を見ていたに違いないと思い始めましたが、壁に下がった呼び鈴を見ると、まだ揺れているではありませんか。 (作品社「幽霊」イーディス・ウォートン著 145頁より) ご紹介する小説は、アメリカ人作家イ…

秋に差し掛かったら文化祭の1日を切り取った学園ミステリ小説を。「文化祭オクロック」竹内真・著

「それでは皆さん、東天祭の始まりです!」生徒会長がそう宣言した瞬間に文化祭が開幕する。⋯八百人分のエネルギーが一気に解放され、どよめきや足音へ変わっていく。 (東京創元社文庫「文化祭オクロック」 竹内真・著 4頁) ご紹介する小説は、竹内真さん…

真夏の夜に和テイストの恐怖小説を。「きつねのはなし」森見登美彦・著

掌に覆われた顔が暗くなり、指の隙間から眼球がのぞいていた。私は驚いて彼の仕草を見つめた。「狐の面だよ」彼は言った。 (新潮社「きつねのはなし」森見登美彦・著 30頁より) ご紹介する小説は、森見登美彦さんの「きつねのはなし」です。 新潮社から…

真夏の白昼にジャズのスタンダードナンバー に彩られた瑞々しい小説を。「サマータイム」佐藤多佳子・著

ぼくの頭の中でふいにピアノの音が踊り出した。右手だけの力強いサマータイム! (偕成社「四季のピアニストたち[上]サマータイム」佐藤多佳子・著 70頁より) 紹介するのは佐藤多佳子さんの小説「サマータイム」です。 偕成社から単行本、新潮社から文庫…

夏の始まりにレトロで幻想的な「現代版・雪渡り」を。「夏至祭」長野まゆみ・著

今夜は秘密を持つ夜にふさわしい月が出ている。まもなく北西の地平に沈むところだ。天蓋は群青に澄み、ゆっくりと回転しはじめた。 (河出書房新社「夏至祭」長野まゆみ・著 22頁より) ご紹介する小説は、長野まゆみさんの「夏至祭」です。 河出書房新社…