小説-季節で選ぶ-春におすすめの小説
こいつ、おかしい。すごい変わってる。 でも、どこがだろう。何がだろう。 そういえば、こいつとはここまで、一度も鍔迫り合いになっていない。 もう一度、何本か続けて打ち込んでみる。 メンメン、引きゴテ、メン、引きドウ、コテメンー。 (文春文庫「武士…
「この寮で一カ月以上も暮らしてるとさ、受験勉強の仕方を三タイプに分類できるってのが見えてくるな」 「知力でやる奴、気力でやる奴、体力でやる奴、だよ」 「あのさ、僕はどのタイプに入るわけ?」 「アキラの場合は、みんなと違って指向性が見えにくいん…
相庭陽子さん。美しい人、飛切りのおしゃれです。軟派の中の女王です。級(クラス)でのニックネームはクレオパトラ、 佐伯一枝さん。これは硬派の大将、まさに全級一の模範生です。ニックネームはロボット、すなわち人造人間ですって、 弓削牧子。これは個…
それにしてもぼくの大すきなあのいい先生はどこに行かれたでしょう。もう二度とは会えないと知りながら、ぼくは今でもあの先生がいたらなあと思います。秋になるといつでも葡萄の房はむらさきに色付いて美しく粉をふきますけれど、それを受けた大理石のよう…
どうも。3連休の浮かれ気分に任せてこんな企画を思いついちゃったブログ主です。 いや、ツイッターでは少し呟いた事があったのですが、本当にやっちゃうのがアホなブログ主ですw 本日も休日出勤。本当このシーズン早く終わって欲しい。ブログ記事の構想も練…
「ぜひこの一足をあなたにはいてもらいたい、そう思って仕上げた。しかし、主人が上物は扱わせてくれないので、自費の材料ゆえ粗末で恥ずかしい。かなりなくせのある木目で、今日のあれとは比べものにならない。気をわるくされやしないかと心配だが、くせが…
まいは、小さいころからおばあちゃんが大好きだった。 実際、「おばあちゃん、大好き」と、事あるごとに連発した。 そういうとき、おばあちゃんはいつも微笑んで、 「アイ・ノウ」 知っていますよ、と応えるのだった。 (新潮社「 西の魔女が死んだ」13ペ…
「信じてください。ぼくは、きみがこれを読む八十年もあとの時代に実在し、生きているのですー。きみと恋に落ちたことを、心の底から信じながら。」 (ハヤカワ文庫「ゲイルズバーグの春を愛す」ジャック・フィニイ 著 207頁より) 春本番になって、寒の戻り…
襖の音に、女は卒然と蝶から目を余の方に転じた。視線は毒矢のごとく空を貫いて、会釈もなく余が眉間に落ちる。 ( 集英社文庫「 草枕」夏目漱石・著 91頁より) ご紹介する小説は、夏目漱石の「 草枕」です。 目次 ・「 草枕」キーワード ・あらすじ ・味…
「わたし、スタンダードシフォンと、コーヒー」 まずはシフォンで肩慣らしか、と思ったが、 「・・・・・・とミルフィーユとパンナコッタとストロベリーショート」 いきなり全開ですか。 ( 創元推理文庫「 春期限定いちごタルト事件」米澤穂信 著 155頁より…