小説ア・ラ・カルト 〜季節と気分で選ぶ小説(時々映画)〜

季節と気分に合わせた読書&映画鑑賞の提案

小説-気分で選ぶ-ぞくっとする小説が読みたい

節分におすすめな鬼の本 ノワール(黒)編

一塊の鬼火が崇徳院の膝元から燃え上って、山も谷も真昼のように明るくなった。その光の中で、よくよく院のご様子を拝見すると、お顔は朱を注いだように赤く、雑草の様な髪は乱れて膝までかかり、白眼をつり上げて、熱い息を荒々しく吐き出すご様子がいかに…

児童書と侮るなかれ 格調高い英国ゴシックホラー「モンタギューおじさんの怖い話」クリス・プリーストリー著

なぜか、おじさんの家へ行くときに、森の木々が葉をつけていた記憶がない。あの森をぬけていくときは、いつも寒くて、霜がおりているか、雪がふっていたような気がする。葉といえば、地面の上でくさりかけている枯れ葉以外、見たおぼえがないのだ。( 理論社…

今夏は王道の和テイスト恐怖小説はいかが?「営繕かるかや怪異譚」小野不由美・著

俯いた女は折り目正しく頭を下げた。帯締めに下げた鈴がチリンと鳴った。 「お悔やみを申し上げます」 女ははっきりとそう言った。 ( 角川書店「営繕かるかや怪異譚」小野不由美・著 108頁より) ブログ主の住む関東は、なかなか梅雨が明けない日々です…

ミステリーの女王自薦の、それはそれは恐ろしいサスペンス 「終わりなき夜に生れつく」アガサ・クリスティー著

「そういうときこそ気をつけないと」フィルポットは言った。 「いわゆる死の予兆(フェイ)というやつですよ。」 (ハヤカワ文庫「終わりなき夜に生れつく」アガサ・クリスティー著 239頁より) 読み終えた時の第一声、「なんて恐ろしい小説だろう。」こ…

稀代の名手によるゴシックホラー短編集 「幽霊」イーディス・ウォートン 著

夢を見ていたに違いないと思い始めましたが、壁に下がった呼び鈴を見ると、まだ揺れているではありませんか。 (作品社「幽霊」イーディス・ウォートン著 145頁より) ハロウィーンからクリスマスあたりの、夜が長くなる季節になると繰り返し読みたくなる…

真夏の夜に和テイストの恐怖小説を。「きつねのはなし」森見登美彦・著

掌に覆われた顔が暗くなり、指の隙間から眼球がのぞいていた。私は驚いて彼の仕草を見つめた。「狐の面だよ」彼は言った。 (新潮社「きつねのはなし」森見登美彦・著30頁より) ご紹介する小説は、森見登美彦さんの「きつねのはなし」です。 目次 「きつ…

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