小説ア・ラ・カルト 〜季節と気分で選ぶ小説(時々映画)〜

季節と気分に合わせた読書&映画鑑賞の提案

映画観てきました「グリーンブック」感想

GW前に鑑賞したので、少し間が空いてしまった…。やっぱりアレですね、「鉄は熱いうちに打て」ってやつですね。私の拙い記憶力でどこまで思い出せるか不安ですが、それでも紹介したいほど良い作品でした。 あらすじ 1962年、ニューヨーク。ナイトクラブ…

甘さゼロ?のスウィーツ×学園ミステリ「春期限定いちごタルト事件」米澤穂信 著

「わたし、スタンダードシフォンと、コーヒー」 まずはシフォンで肩慣らしか、と思ったが、 「・・・・・・とミルフィーユとパンナコッタとストロベリーショート」 いきなり全開ですか。 ( 創元推理文庫「 春期限定いちごタルト事件」米澤穂信 著 155頁より…

憎まれっ子世に憚る?映画「ファウンダー ~ハンバーガー帝国のヒミツ~」

「ライバルが溺れていたらホースを口に突っ込む。君たちにそれが出来るか?」 (劇中、レイ・クロックの台詞より) ご紹介する映画は、2016年アメリカ制作映画「ファウンダー~ハンバーガー帝国のヒミツ~(原題THE FOUNDER)」です。 目次 あらす…

男女のタイミングのズレがほろ苦くも爽やか 映画「Onceダブリンの街角で」

「彼をまだ愛してる?」 「・・・Miluju tebe」 (劇中の台詞 主人公の質問とチェコ語で返したチェコ移民のヒロインの答えより) ご紹介する映画は、2006年アイルランド制作映画「ONCE ダブリンの街角で(原題 ONCE)」です。 目次 あらすじ 味わいポイント …

チョコレートは甘くほろ苦いだけ?小説「ショコラ」ジョアン・ハリス 著

「でも、人生は祝福するべきものだわ。そのすべてを。つまり、その最後さえも。」 わたしは、ホットプレートに載ったポットを手にとって、ふたつのグラスにホットチョコレートを注いだ。 ( 角川書店「ショコラ」ジョアン・ハリス著 231頁より) バレンタイ…

映画観てきました「メアリーの総て」感想

正月休みに「メアリーの総て」という映画を観てきました。 とてもいい作品でした。やっぱり“あの監督”の作品だ、と噛みしめながら映画館を後にしました。監督の話は後に回すとして、まずはあらすじを。 あらすじ 今から約200年前に著されて以降、現在に至…

冬の港町。幻想的でノスタルジックな二少年の冒険譚を。「三日月少年漂流記」長野まゆみ 著

「寒くなったな、夜天(そら)が落ちてきそうだ。」 「夜天(そら)が、星ぢゃないのか。」銅貨が訊き返すと、 「夜天だよ。今にも留め金が外れて天井板のように落ちてきそうなほど凍ってる。」 ( 河出書房新社「三日月少年漂流記」長野まゆみ・著 74頁よ…

日本の正月の陰を描く小説「一月一日(いちがついちじつ)」永井荷風 著

「金田か、妙な男さね。日本料理の宴会だといえば顔を出した事がない。日本酒と米の飯ほど嫌いなものはないんだッていうから・・・」 「お分かりになりましたろう。私の日本料理、日本酒嫌いの理由(いわれ)はそういう次第です。」 岩波文庫「あめりか物語…

木枯らし1号が吹く頃になったら、じんわり沁み入る冬の絶品短編集を。「季節風*冬 サンタエクスプレス」 重松清 著

「もしもなっちゃんが「早く帰りたい」と言うのならせめて途中で『ひかり』に乗り換えよう、と携帯電話で時刻表を調べかけた、そのときー。 「ねえ、パパ・・・・・・ サンタさん」 なっちゃんが言った。 「はあ?」 「トナカイさんも、ホームにいるよ」 ( …

雪原のロシア辺境地で繰り広げられる一青年の冒険譚を。「大尉の娘」アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン著

「じゃ行って来い、ピョートル。いったん忠誠を誓ったら、その人に忠勤を励むんだぞ。上官の言うことをよく守れ。上官の機嫌をとるじゃないぞ。勤務の上で出しゃばるな、また勤務をずるけるな。それからこのことわざを覚えとけ -おろしたてから着物を惜しめ…

賭けたのは、報道の大義。映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

「 報道の自由を守る方法は一つ。報道することだ。」 (劇中 ベン・ブラッドリーの台詞より) ご紹介する映画は、2017年アメリカ制作映画「 ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(原題ThePost)」です。 目次 あらすじ 味わいポイント ①決断までの…

父娘とグース達の壮大な渡りの旅を。映画「グース」

「ママがいれば」 「いるさ、お前の横にいる グースとともに、あの空に どこにもいる」 (劇中 エイミーとトーマスの台詞より) ご紹介する映画は、1996年アメリカ製作映画 「グース(原題 FLY AWAY HOME)」です。 目次 あらすじ 味わいポイント ①描写の細…

稀代の名手によるゴシックホラー短編集 「幽霊」イーディス・ウォートン 著

夢を見ていたに違いないと思い始めましたが、壁に下がった呼び鈴を見ると、まだ揺れているではありませんか。 (作品社「幽霊」イーディス・ウォートン著 145頁より) ハロウィーンからクリスマスあたりの、夜が長くなる季節になると繰り返し読みたくなる…

文化祭の1日を切り取った学園ミステリー 「文化祭オクロック」竹内真・著

「それでは皆さん、東天祭の始まりです!」生徒会長がそう宣言した瞬間に文化祭が開幕する。⋯八百人分のエネルギーが一気に解放され、どよめきや足音へ変わっていく。 ( 東京創元社文庫「文化祭オクロック」 竹内真・著 4頁) ご紹介する小説は、竹内真さん…

真夏の夜に和テイストの恐怖小説を。「きつねのはなし」森見登美彦・著

掌に覆われた顔が暗くなり、指の隙間から眼球がのぞいていた。私は驚いて彼の仕草を見つめた。「狐の面だよ」彼は言った。 (新潮社「きつねのはなし」森見登美彦・著30頁より) ご紹介する小説は、森見登美彦さんの「きつねのはなし」です。 目次 「きつ…

ジャズのスタンダードナンバー に彩られた瑞々しい小説 「サマータイム」佐藤多佳子・著

ぼくの頭の中でふいにピアノの音が踊り出した。右手だけの力強いサマータイム! ( 偕成社「四季のピアニストたち[上]サマータイム」佐藤多佳子・著 70頁より) 紹介するのは佐藤多佳子さんの小説「 サマータイム」です。 目次 「 サマータイム」キーワー…

夏の始まりに、レトロで幻想的な「現代版・雪渡り」はいかが?「夏至祭」長野まゆみ・著

今夜は秘密を持つ夜にふさわしい月が出ている。まもなく北西の地平に沈むところだ。天蓋は群青に澄み、ゆっくりと回転しはじめた。 ( 河出書房新社「夏至祭」長野まゆみ・著 22頁より) ご紹介する小説は、長野まゆみさんの「 夏至祭」です。 目次 「 夏…

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