小説ア・ラ・カルト〜季節と気分で選ぶ小説(時々映画)〜

季節と気分に合わせた読書&映画鑑賞の提案

雪原のロシア辺境地で繰り広げられる一青年の冒険譚を。「大尉の娘」アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン著

「じゃ行って来い、ピョートル。いったん忠誠を誓ったら、その人に忠勤を励むんだぞ。上官の言うことをよく守れ。上官の機嫌をとるじゃないぞ。勤務の上で出しゃばるな、また勤務をずるけるな。それからこのことわざを覚えとけ -おろしたてから着物を惜しめ、若いうちから名は惜しめ。」

岩波文庫「大尉の娘」アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン著 17頁より)

 

 

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ご紹介する小説は、ロシア人作家アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン(1799〜1837年)の「大尉の娘」です。

岩波書店から文庫本が出版されています。

 

 

 目次

 

・「大尉の娘」キーワード

・あらすじ

・味わいポイント

 冒険・恋愛・歴史 各要素が融合した、荒々しくも円満な読み応え

 

 

 

「大尉の娘」(アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン)キーワード

冬におすすめの小説 冬のロシア 雪原 要塞

辺境の前線地  一兵卒の青年 恋と冒険  聡明な娘 老練な司令官 豪放磊落な盗賊 略奪 酔狂 私刑

 

 

 

あらすじ

19世紀ロシア文豪アレクサンドル・セルゲーエヴィチ・プーシキン(1799年~1837年)の円熟期作品。舞台は19世紀前半のロシア、エカチェリーナ2世の治世。主人公ピョートル・アンドレーイチは貴族の家に生まれた17才。それは生まれながらに都で近衛士官になれることが約束された身分である。しかし、ピョートルの父は息子を敢えて普通師団の一兵卒として軍役に送り出した。守役(じいや)のサヴェーリイチと共にピョートルが赴任したのは異民族との攻防前線地である辺境、ベロゴールスク要塞だった。はじめは辺鄙な最前線に送られた事に絶望していたピョートルだったが、要塞の司令官であるミローノフ大尉の娘、マリヤに出会いー。

 

 

 

味わいポイント

冒険・恋愛・歴史 各要素が融合した、荒々しくも円満な読み応え

ロシアの冒険モノ・戦記モノと言えば、ゴーゴリの「隊長ブーリバ」を読んだことがありますが、あちらは苦手でした。とにかく野蛮で残忍で荒々しい。ただそれだけが悪目立ちしている感がありました。

 

本作も基本的には、異民族反乱軍との戦いに明け暮れている舞台なので、荒々しいです。略奪・酔狂・私刑が横行し、一方で武勇と忠節も求められる世界。しかし、本作は戦だけに始終した作品ではありません。

 

そんな舞台で繰り広げられる主人公の冒険は、と言えば・・・。次々と「冒険」は主人公ピョートルに躍り掛かり、ピョートルもまた怖いもの知らずの大胆さ知恵とを以て、これに挑んでいきます。

一方、恋愛はと言うと・・・。ピョートルは赴任先のベロゴールスク要塞の司令官ミローノフ大尉の娘マリヤに出会い、若者らしくあっという間に恋に落ちます(笑)。

恋愛部分については、血気盛んな若者らしい「単純さ」「(好きな女の子への)献身」が前面に押し出され、いわゆる女性目線的な繊細さとはまた一味違った意味で、真に迫っています。

また、本作にもう一つ深みを与えているのは「歴史」です。

本作は史実の「プガチョーフの乱」を下敷きにしています。敵味方の区別不明瞭なほどの擾乱ぶり史実なればこそ、という感じがします。また、その不明瞭さゆえに芽生えた“ならず者”プガチョーフとピョートルとの、友情らしい奇妙な感情は、冒険や恋愛や舞台設定が持つ荒々しさとは対照的に、比較的繊細に描かれています。

 

一青年の冒険譚としては、十分過ぎるほどの円満さを持つ本作。

冬の夜に、主人公ピョートルと共にロシアの雪原を駆け巡る冒険を(実際にはふとんやコタツの中でぬくぬくと)味わってはいかがでしょうか。 

 

 

 

 

大尉の娘 (岩波文庫)

大尉の娘 (岩波文庫)

 

 

 

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