大晦日に「さらば愛しきアウトロー」という映画を観てきました。
正直、「せっかく時間あるし、馴染みの映画館で映画でも観るかあ。」くらいの軽いノリで行きました。いつもは「これ絶対に観たい!!」で、観に行くんですけどね。珍しいです。
あらすじ
80年代のアメリカ。中折れ帽にスーツ、口元には微笑みをたたえた老紳士が銀行の窓口に寄る。笑顔で対応した行員が老紳士が差し出したメモを見て固まる。しかし老紳士の方は変わらず魅力的な微笑と言葉を投げ、行員が寄越した現金入りケースを手にして立ち去る。誰も強盗が入ったなどと気づかない。まして誰も傷つけず、事情聴取を受けた行員や支店長も「とても紳士的だった」と証言するー。
強盗の名はフォレスト・タッカー( ロバート・レッドフォード)74歳。16回の脱獄と銀行強盗を繰り返していながら、誰一人傷つけた事が無い。
恋人のジュエル( シシー・スペイセク)や、更には事件の担当になったジョン・ハント刑事( ケイシー・アフレック)をも魅了しつつ、タッカーはかつてないデカいヤマを狙う計画を立てる。
感想
冒頭でも述べた通り、正直そんなに期待せずに観に行きました。事実、前半は「悪くない。悪くないけど、予想通りの予定調和的展開、だな。」と思って観ていました。
本作は「ハリウッドの伝説」と綽名( あだな)されるロバート・レッドフォードの俳優引退作というのがウリの一つのようです。しかし、世代ではないブログ主にはこの点は今一つピンときません。予定調和的展開と思ってしまったのも、前半はとにかくタッカーがかっこよく見える演出が多いからです。ジャズのバックミュージックにのって華麗に登場し、中折帽の下で微笑み、ケースを手にしてスマートにその場を後にし、車で警察を巻く・・・。予想通りの、“大御所”に花を持たせた演出・作品なのかな、と。
また、ブログ主は普段はヒューマンドラマを大事にした作品が好みです。陳腐な言葉でいえば「深みがある」とか「心理の細やかな描写」と表現されるようなもの。その点でも本作は「なぜタッカーが脱獄と強盗を繰り返すのか、その辺の心理描写が無くて、ちょっと単純なエンタメ映画かなあ」とも考えていました。
一転したのは、後半のとあるカーチェイスシーン。
タッカーが直近で最後につかまった時を回想するシーンで、モンタナの荒野を爆走して逃げるタッカーの車と、後を追う何台もの警察車両とのカーチェイスです。
追い詰められたタッカーは潔く車から出てくるのですが、なんとこの時笑っているのです。笑顔で出てきて、本物の銃口を向ける警察官たちに向かって右手で銃を形作り、引き金を引くマネをしてみせます。
ー「楽に生きるなんてどうでもいい。楽しく生きたい。」
このシーンと台詞を見て聞いたとき、前半に抱いた感想が全てひっくり返りました。
「楽しく生きたい」ー。青二才のうちはとかくごちゃごちゃと複雑に考えがちだけど、ムダを削ぎ落とせば結局ここに帰結するし、そこに予定調和なんてものは一つも無い。
そう言われた気がしました。
「心理描写が無くて単純」なのではなく、「生き様それ自体がコンテンツ」なのかなと。若い人の複雑な苦悩を超越した、老練の単純明快な生き様に素直にかっこいいと思いました。
鑑賞後は「たまにはこんな映画もよきかな。」とほくほくして帰ったブログ主の大晦日でした。
ということで、今年の“ブログ初め”でした。
本年もどうぞよろしくお願いします。
※ツイッターの方もなにとぞ良しなに
大晦日に飯田橋ギンレイホールで『さらば愛しきアウトロー』観てきました。
— josiemarch (@josiemarch2) 2020年1月2日
拳銃は1発も撃つ事なく、「紳士だった」と誰もが口をそろえる実在の老紳士強盗を描いた作品。観に行って良かった!
なぜと問われれば「楽しいからさ!」という単純明快な生き様に憧れる。アウトローにはなっちゃいかんけど笑 pic.twitter.com/Lu6alb1zsV
まだ「寒い国から帰ってきたスパイ」読みかけなうえに チェーホフの「僧正」を再読しつつ、同じくチェーホフの「かわいい女・犬を連れた奥さん」を初見で読んでる。
— josiemarch (@josiemarch2) 2020年1月3日
なのに、本日書店にて更に「ムーミン谷の冬」「フランケンシュタイン」と目が合い連れ帰る。
どうすりゃいいんだ(ー ー;) pic.twitter.com/o6PYdYkQ7C